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ガリバー / クロード・シモン

4,950円

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芳川泰久=訳 ルリユール叢書 ———————————————— 彼は自分の飛行機で木々や丘をかすめながらその上を飛んでいたときも、死を求めたりはしなかった。自分のものではない召集令状によって前線に赴いたときも、同様に死を求めてはいなかった。 ———————————————— 『フランドルへの道』『ファルサロスの戦い』『農耕詩』など、前衛的、実験的小説作品を発表した〈ヌーヴォー・ロマン〉の代表作家クロード・シモン──シモン独自の書法で紡がれた、第二次大戦末期の、とある日曜日の出来事の〈居場所のなさ〉をめぐる初期の長編小説。本邦初訳。 文学作品は創造され、それでも理解される。というのも、それが言葉にされたものとして、つまり作家の見るものから創造されるからであり、無からの創造ではないからだ。作家は言う。私は何も作り出していない。私は自分の見たものを語る。[…]クロード・シモンは言う。目に見えるものは無限であり、文学は無限である。――より倍率をあげれば、人は常に言うべきことを見つけることができる。人は常にじゅうぶん生きてきたから書けるのだ。それは、存在するもののコピーを意味するだろうか? 存在するものの重複を意味するだろうか? 作家にとっては、自分の語るものは自分が見たものである。――だが見られたものは多形(ポリモルフ)であり、無定形(アモルフ)である。見るとは思考することではない。見たものを書くとはじっさい、見たものを加工することだ。[…]さまざまな見えるもの(すなわちプルーストでいえば、現在と過去)において、あるいは見えるものと人びとに含まれるものにおいて、差異化というか同じ次元の起伏は同じ軸上にあって、同じ本質を分け持っている。というか、それらは相互に「比喩(メタファー)」になっていて、「隔たり」さえ提供している。世界とは見られたものによって、語られたものによって定義されるのではなく、見られないものによって、語られないものによって、正確にいえば、あるものと他のものとの差異によって定義される。この差異によって、作家は作家となるのだ。――モーリス・メルロ゠ポンティ ■著者略歴 クロード・シモン(Claude Simon 1913–2005) 1913年、マダガスカル生まれ。満1歳にならないうちに父を、11歳で母を亡くす。1925年、パリのスタニスラス校の寄宿生となり、バカロレア試験をはさんでイギリスで語学研修。パリで絵画を学ぶ。1936年、バルセロナに滞在しスペイン内戦を観察。全国労働者連合(CNT)と連絡を保ち、武器の購入と輸送に協力。1939年、竜騎兵連隊に召集され、捕虜となるも脱走。1945年、『ペテン師』を出版。『風』以降「新しい小説」を書く。代表作に『フランドルへの道』、『農耕詩』など。1985年、ノーベル文学賞を受賞。 ■訳者略歴 芳川泰久(よしかわ・やすひさ) 1951年、埼玉県生まれ。早稲田大学名誉教授。著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房)、『謎とき『失われた時を求めて』』(新潮社)、『『ボヴァリー夫人』をごく私的に読む』、『バルザック×テクスト論 〈あら皮〉から読む『人間喜劇』』(以上、せりか書房)、『村上春樹とフィクショナルなもの――「地下鉄サリン事件」以降のメタファー物語論』(幻戯書房)ほか多数。訳書にクロード・シモン『農耕詩』(白水社)、バルザック『サラジーヌ 他三篇』『ゴプセック・毬打つ猫の店』(以上、岩波文庫)、フローベール『ボヴァリー夫人』(新潮文庫)ほか多数。 ■目次 第一部  I  II  III  IV 第二部  V  VI  VII  VIII 第三部  IX  X 第四部  XI  XII  XIII   註   クロード・シモン[1913–2005]年譜   訳者解説 すべては比喩からはじまった ■書誌情報 判型/総ページ 四六変上製/480ページ 刊行年月 2023年12月 ISBN 978-4-86488-290-3

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