original
池中愛海・鈴木優・和泉雅人=訳
ルリユール叢書
『ウンディーネ――水の妖精』の詩人が書いた大ベストセラー小説が、210年の時を超えて蘇る!――『指輪物語』『ナルニア国物語』の先駆となった冒険ファンタジー小説の原像。汎ヨーロッパのヴィジョンを夢幻に繰り広げた、力と美の奔出する中世騎士道絵巻。本邦初訳。
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青年の君は
遥けく遠く幾多のシュトラウスを求めゆく
花束(シュトラウス)はくちづけの挨拶にして
戦い(シュトラウス)は槍の挨拶
されど一方は甘美にして
他方は辛く酷(むご)い
自由の刻(とき)が来た。自由の刻は
幾多の戦士に聖なる死をもたらすことだろう
たとえこの自由のための戦いがわが胸に死の傷を負わせ
御身(おんみ)のために流れし最期の赤き血潮にこの身が沈もうとも
わが死とともにこの甘美なる知らせが無に帰してはならぬ
われを虜とせん御身の愛とわが心の苦しみを告げしこの知らせが
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この小説はドン・キホーテ以来最高の小説である。
──フリードリヒ・シュレーゲル
フケーは天才だ。〔…〕彼の作品は敬虔な服従の心、苦痛を耐え忍ぶ精気に溢れた瑞々しい心、穏やかでひたむきな希望と愛、そして柔和で控えめの情熱といった、真の心情に満ちている。
──トマス・カーライル
彼は不可思議の王国において、無限の力をもった支配者なのだ。
──E・T・A・ホフマン
そしてフケーよ、なんと君はわが心に迫ることか!
君は危険を冒した、戦った──しかし君は生き、歌を謳っている
──ルートヴィヒ・ウーラント
フケーの『魔法の指輪』は完成された作品だ。とりわけ彼のそのほかのすべての作品の完成された指輪である。
──A・v・シャミッソー
フケーの謎めいた世界は「死の天使が真っ赤な血の色に染まった翼を開くかのように」広がっている。
──ジャン・パウル
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■著者略歴
フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー(Friedrich Heinrich Karl de la Motte Fouqué 1777–1843)
後期ロマン派の作家。ドイツに逃れたユグノー貴族の末裔としてブランデンブルクに生まれる。ナポレオン軍に占領され、ナショナリズムが勃興したドイツにおいて、『北方の英雄』(1810)、『ウンディーネ』(1811)、『魔法の指輪』(1812/13)といった、北欧サガや中世騎士物語を題材としたヒット作を矢継ぎ早に発表し、大流行作家となった。近年、アルノー・シュミットの「フケー再発見」以降、フケー再評価の気運が高まりつつある。とくにファンタジー文学の先駆ともいえる作風はいまなおわれわれを魅了するもので、埋もれていた作品が次々と復刻、再版されている。
■訳者略歴
池中愛海(いけなか・あみ)
慶應義塾大学、早稲田大学非常勤講師。専門はドイツ・ロマン派、ホフマン研究。著訳書に „Zitieren als klassifizierter und klassifizierender Akt. Die Lesenden in E.T.A. Hoffmanns Lebens-Ansichten des Katers Murr“ (In: Religiöse Erfahrung - Literarischer Habitus. Iudicium Verlag, München 2020)、 『ルートヴィヒ・ティーク著作集 第四巻』(共訳、法政大学出版局、近刊)。
鈴木優(すずき・ゆう)
日本大学芸術学部助教。専門はドイツ教育思想史、シラーの美的教育思想。著訳書に、今井康雄編『モノの経験の教育学』(共訳、東京大学出版会)、「哲学的医師シラーによる『人間の使命』の探求」『近代教育フォーラム』(第30号)、「ハンス゠リューディガー・ミュラー著『陶冶の感性論理学』(共訳、福村出版、近刊)。
和泉雅人(いずみ・まさと)
慶應義塾大学名誉教授。編著訳書にブムケ『中世の騎士文化』(白水社)、ベーア『一角獣』(河出書房新社)、『迷宮学入門』(講談社)、シュラッファー『ドイツ文学の短い歴史』(同学社)、「C・ゲスナー『萬有書誌』、『動物誌』」(『慶應義塾図書館の蔵書』)、『ディルタイ全集第五巻(詩学・美学論集)』(法政大学出版局)、マシューズ『迷宮と迷路の文化史』(東京堂出版)、『ルートヴィヒ・ティーク著作集』全四巻(法政大学出版局、近刊)他。
■上巻目次
第一部 主要登場人物
第二部 主要登場人物
第一部
親愛なる読者に!
第一章 ドナウ川の岸辺
第二章 ガブリエーレ・ド・ポルタムール
第三章 緑地の決闘
第四章 騎士への叙任
第五章 武具の夜番
第六章 冒険へ
第七章 騎士と商人
第八章 私闘
第九章 帝国自由都市フランクフルト
第十章 黒銀の鷲
第十一章 兄と妹
第十二章 萎れゆく花
第十三章 愛の癒し夫人
第十四章 敬虔な魔女の城
第十五章 魔女との約束
第十六章 孤島の決闘(ホルムガング)
第十七章 隼(はやぶさ)
第十八章 狩人(かりうど)の城
第十九章 三つの騎士の物語
第二十章 若きドイツの騎士
第二十一章 少年フォルコの誓い
第二十二章 橅(ぶな)の森のアベラールとエロイーズ
第二十三章 馬上槍試合(チョスト)
第二十四章 婚約の宴と禿鷲(はげわし)の騎士
第二十五章 魔の秘酒
第二十六章 孤独
第二部
第一章 アルデンヌ山地の洞窟
第二章 新たなる旅立ち
第三章 トラウトヴァンゲン城の巡礼者
第四章 東フリースラントの廃墟
第五章 ノルウェーへの航海
第六章 腕比べ
第七章 鍛冶師アスムンドゥール
第八章 統率者
第九章 キリスト教軍の戦い
第十章 ガスコーニュの城
第十一章 石の十字架
註
■下巻目次
第二部 主要登場人物
第三部 主要登場人物
第二部
第十二章 死闘
第十三章 オットーとオトゥール
第十四章 国境(くにざかい)の警備
第十五章 岩山の見張り塔
第十六章 フィンランド軍と魔の乙女
第十七章 剣の誓い
第十八章 老フーク殿の夢
第十九章 スペインの街カルタヘナ
第二十章 貴婦人と隼(はやぶさ)
第二十一章 騎士フォルコ・ド・モンフォコン
第二十二章 二筆の恋文
第二十三章 スヴェルカーの報告
第二十四章 ヒルディリドゥールの過去
第二十五章 魔法の鏡
第三部
第一章 攫(さら)われた処⼥(おとめ)
第二章 宮殿の魔法の夜
第三章 ⼤総督(アミール)ヌレディーン
第四章 総督の宮殿
第五章 ⼄⼥と薔薇と剣
第六章 ヒュギースの息⼦
第七章 信仰の⾏⽅(ゆくえ)
第八章 オスティアの奇跡
第九章 テバルドの魔術
第十章 ジェノヴァからの出⽴
第十一章 ミラノの教会墓地
第十二章 ⽣贄(いけにえ)の祭壇
第十三章 地底の国
第十四章 魔術と祈り
第十五章 銀鎧(ぎんよろい)の騎⼠
第十六章 地下世界の終焉
第十七章 幽⻤の狩⼈(ヴィルデ・イェーガー)
第十八章 ヴァルベック城
第十九章 恋と⼗字架
第二十章 天上の処⼥(おとめ)
第二十一章 去りゆく者たち
第二十二章 ⻩⾦の巻き⽑の⼄⼥
第二十三章 ジプシーの宝⽯売り
第二十四章 復讐の刻(とき)
第二十五章 最後の戦い
第二十六章 教皇の使者
第二十七章 復讐の彼⽅に
最終章 ドナウ川の岸辺
註
ド・ラ・モット・フケー[1777–1843]年譜
解題
■書誌情報
判型/総ページ 四六変形上製/[上巻]384ページ [下巻]496ページ
刊行年月 2022年5月
ISBN [上巻]978-4-86488-247-7 [下巻]978-4-86488-248-4