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小谷野敦私小説集 蛍日和

3,190円

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愛妻小説 出会い、引っ越し、再婚、断煙、禁断症状、不安神経症、ノイローゼ、睡眠障害、鬱、妻の事故……その屈託に寄り添った妻との十五年。4篇収録 廊下で蛍とすれ違うことがある。といっても大抵はトイレから出て来た蛍の脇を私が通るのだが、狭いから、蛍は片側の壁に、両手をあげてピタッと張り付き、「あじのひらきッ」と言うのである。 その頃、ウェブを検索していて、私が若いころ半年ほどつきあっていた先輩の吉川玲子が、勤務先の八重桜大学で学部長になっているのを知り、複雑な気分に襲われた。私は大学教授になり損ね、妻も非常勤で苦労し、著作も売れなくなっている。さらにこの病気で逼塞状態だ。もちろん東大教授でも死ぬことはあるのだから、生きてこそとも考えられる。惨めな気分を被虐趣味に変えてみたりもした。   ――「幻肢痛」より―― ■著者略歴 小谷野敦(こやの・あつし) 1962年、茨城県生まれ。作家、比較文学者。東京大学文学部英文科卒業。同大学院比較文学比較文化選考博士課程修了、学術博士。著書に『聖母のいない国』(サントリー学芸賞)『〈男の恋〉の文学史』『もてない男』『江戸幻想批判』『恋愛の昭和史』『谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』『川端康成 双面の人』『江藤淳と大江健三郎』『純文学とは何か』『歌舞伎に女優がいた時代』等多数。小説集に『非望』『童貞放浪記』(映画化)『母子寮前』『ヌエのいた家』(以上2点、芥川賞候補)『東十条の女』がある。 ■書誌情報 判型/総ページ 四六上製/224ページ 刊行年月 2023年6月 ISBN 978-4-86488-276-7

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